M side

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小学校に上がり入学式はリノと入場。 見かけによらずちっちゃな柔らかい手に 俺はドキドキした。 退場の時に撮られた写真が 市の広報に載ったらしく ヨシヤのママがわざわざ見せてくれた。 物心ついてから思ったけど…。 広報なんてウチのはどこにあったんだか。 毎日の学校は楽しくて放課後は一旦家に帰り すぐにヨシヤや友達と遊びに出かけた。 校庭でサッカーをしたり誰かんちでゲームしたり。 「マーちゃん、いつも新しいゲーム いっぱい持っててスゲェなー!」 父親が居ないからか、 母親が一緒に住んでないからか 俺は欲しいモノは大抵与えてもらっていた。 ゲームがいっぱいの方が嬉しいんか? そんなモノより俺はお前らの方がよっぽど…。 冬のバレンタイン、 女子からいっぱいチョコをもらって帰り ばぁちゃんに見せた。 「貰った子に来月お返しするんだよー? 誰に貰ったか覚えてる?」 「んー、多分…」 アイツだけはすぐに顔が浮かんだんだけどなぁ。 実際、貰ってない子を思い出した方が早いくらいで かなり曖昧にお返しを買った。 1つずつラッピングをしてくれるお店の人が リボンは何色にしますか?と聞いてきた。 ピンク、赤、水色、黄色…。 「1つだけピンクで…。 後は全部黄色で」 何でそんな事したのか解らないけど どうしても1つだけ特別にしたくなった。 中身は全部同じキャンディだったのに…。 ホワイトデー当日、 校門を出た所で女子を引き留めた。 多分合ってるよな?と少し不安になりながら チョコをくれたであろう子にお返しを渡す。 もちろんアイツにも。 俺は袋からピンクのリボンのついた キャンディを出して 「バレンタインありがとう!お返し!」 手渡すと、ありがとうと受け取ってくれた。 特別なピンクのリボン。 アイツはそれに全く気付かなかった。 ただ嬉しそうに両手でそれを包み ニコニコしていた。 翌年も翌々年もアイツは俺にチョコをくれて 俺はアイツにだけ特別なピンクのリボン。 誰も気付かなかったけど、俺の自己満足。 学年が大きくなるにつれ、 この気持ちは『恋』だと知った。 俺はアイツが好きなんだ…。 気になって仕方ないこの気持ちの謎が解けた。
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