1 チェーンメールによるデマ

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 一方、関西の方では別のモチーフのものが出回っていたようだ。  こちらは兵庫県に住むまた違う友人のもとに当年3月12日に届いたメールで、電話で話した折に偶然、チェーンメールの話題となり、その頃、著者は民俗学研究の活動をしていたので「要るなら送ろうか?」と転送してくれたものである。 (原文)  関西電力で働いている友達からのお願いなのですが、本日18時以降関東の電気の備蓄が底をつくらしく、中部電力や関西電力からも送電を行うらしいです。一人が少しの節電をするだけで、関東の方の携帯が充電を出来て情報を得たり、病院にいる方が医療機器を使えるようになり救われます!こんなことくらいしか関西に住む僕たちには、祈る以外の行動として出来ないです! このメールをできるだけ多くの方に送信をお願い致します! よろしくお願い致します。  後になって同じような内容のメールが松本周辺でも広まっていたのを知ったが、無論、発電所で作られている交流電力は備蓄などできないし(できていたら苦労しない。直流に変えて備蓄することは可能だが、それも非効率で現実的ではない)、ご存じのように東京電力では50ヘルツなのに対して、中部電力、関西電力は60ヘルツと周波数が異なり、送電するには変電所で一旦、直流電力に変えた後に同じ周波数に変換する必要がある。  そして、現在ある三つの周波数変換所をもってしても不足分1000万キロワットには程遠い上限100万キロワットを超える送電をすることができないから、東京電力管区で大規模停電の恐れがあるのだ(註1)。  間違うことなき、正真正銘、デマのチェーンメールである。
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