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これらはEメールを媒介にしてのデマであり、概して被災地以外の地域で広まったものであるが、当の被災地では口述の回路を介して――即ち口伝てに広まったデマもあったらしい。
詳細な生の資料は手元にないが、概ね「レイプが多発している」・「強盗殺人事件があった」・「外国人の窃盗団がいる」・「港に来ていた外国人が残って悪さをするらしい」・「暴動が発生している」といった治安の悪化に関するものや、「仮設住宅が近くに作られず置き去りにされる」・「電気の復旧は10 年後らしい」といった復旧に関するものであったようだ(註2)。
実際には窃盗程度の犯罪はあったものの、海外から驚きとともに「日本人の美徳」が讃えられるくらい被災地での治安は比較的良かったのだが、不安や恐怖を抱える被災地の人々の間でこれらの噂はまことしやかに語られ、3月25日には宮城県警が冷静な対応を呼びかけるチラシを避難所で配る程の状況であった。
また、こちらも現代社会を反映し、先述のチェーンメール同様、被災地でも使える携帯電話のEメールを介しても広まったようだ(今ならばSNSが媒体となるであろう)。
福島原発の事故に関しては、安定ヨウ素剤の代わりにヨウ素の入った「うがい薬」を飲めば甲状腺ガンにならないという噂が広がり、一時、薬局等の店頭からうがい薬がなくなるという騒ぎもあった。
確かにヨウ素を充分に取っていれば、放射性ヨウ素が甲状腺に溜まるのを防ぐことができるようだが、うがい薬に含まれる程度の量では効果がないし、逆に他の成分が身体に害を与えてしまう可能性が高い。
「昆布やワカメを食べれば大丈夫」というのも、それらに含まれるヨウ素だけでは少な過ぎる。この噂も今回流行った典型的な真っ赤なデマの一つといえよう(註3)。
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