第3章

4/4
前へ
/16ページ
次へ
「だけどな,先生最近思うんだ」 先生は優しく続けて,海の方を指さした。 「空にも海にも,いろんな青があるだろ?水平線をはさんで海と空に分かれてるけどさ,きっと海も空もたくさんの『違う青色』でできていてさ,海と空どっちにも『おんなじ青色』があったりしてさ,でもぜーんぶその青色たちはキレイなんだよなぁ」 分かるような気もするし,分からないような気もする。 「オレたちが空の中にある青色でも海の中にある青色でもどっちでもさ,多分,それは誰かをわくわくさせるキレイな青色なんだよ」 先生の中から,「オレ」が出てきた。 「みんな違ってみんないい,ってこと?」 ミオンもボクと同じようによくわかっていないんだろう。 先生の方を見つめる。 泣き止んだようだが,まだハシっこが赤い。 「まっ,そういうことかなっ」 先生は立ち上がって振り返り,ボクたちを優しく見つめた。 そして,にこりと微笑んでまた前を向いた。 「さ,帰るぞ。帰りは下りだから気持ちいいぞ?!」 先生の声が背中から聞こえる。 「昔ここで話してたときさ, もしかしたらオーラが見える人間が『異常』な世界もあるかもなって,そんなこと話してたんだ」
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加