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その日から,ボクの学校生活は変わってしまった。
29人目の4年2組の生徒のせいで。
梅雨も終わり青空が広がっているのに,近くの海の水を巻き上げてくるんじゃないかってくらいに風が強い,不気味な日だった。
黒板にキレイに書かれた「浅倉海音」の文字の隣には,ボクよりも小さな男の子がひょこっと立っていた。
「アサクラミオンです。変な名前ですけど,よろしくおねがいします」
静かに透き通った声が,なんだか耳をざわつかせた。
この子のオーラは,とてつもなくスゴイんじゃないかと,クラス全体が気圧されているのを感じて思った。
「浅倉の席は,石川の前な。出席番号は渡辺の後ろになっちゃうけど,『あ』だから一番先だし,ちょうど空いてるし」
と言って,ヤマザキ先生は机を出席番号1番のボクの前に引っ張ってきた。
えーなんでー,と言う暇もなく,ボクの前に机と椅子と浅倉海音がやってきた。
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