1人が本棚に入れています
本棚に追加
似顔絵を描くとき,みんなは当然のように後ろにオーラを描く。
みんな互いのオーラの色を再現しようと,パレットに様々な色を出して混ぜ合わせていた。
ボクは絵を描くのが下手だし,センスを期待されていないから助かった。
「ミソラのオーラ,ちょっと色違くない?」
サイトウが,ミオンが描いたボクの似顔絵にケチをつけたのが始まりだった。
ボクのオーラはオレンジっぽいらしいんだけど,ミオンが描いたのはどうやら明るすぎるらしい。
自分のオーラは鏡でもみんな見えないから,ボクが言わないのはおかしくなかった。
「たしかに!ミオンもしかして色とか作るの苦手なのー?」
ほかの子も便乗する。
わーわーとクラスの声がする。
「ミオンもう一回見せてよー!」
ここぞとばかりにボクも加勢してしまった。
「うるさい!!!!!!」
ミオンが初めて大きい声を出してきて,いきなりボクの肩をなぐってきた。
「見るなこの!」
ミオンがサイトウにもつっかかるが,ガタイの大きいサイトウにすぐに跳ね返される。
「あーもう!!」
ミオンが暴れ,パレットが飛ぶ。水入れがぶちまけられる。
茶色と青と薄オレンジ色とが混じった液体が目の前を飛ぶ。
「何してんだよ!」
ボクの絵にも,にごった水が飛んできて,さすがのボクもミオンにつかみかかる。
「なんだよ,お前も下手なくせに!」
ボクより小さいミオンは意外と力があって,ボクとミオンは取っ組み合う。
「ちょっと,やめなさい!」
慌ててコンドウ先生が止めに入ってくる。
教室は大混乱だ。
最初のコメントを投稿しよう!