第2章

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似顔絵を描くとき,みんなは当然のように後ろにオーラを描く。 みんな互いのオーラの色を再現しようと,パレットに様々な色を出して混ぜ合わせていた。 ボクは絵を描くのが下手だし,センスを期待されていないから助かった。 「ミソラのオーラ,ちょっと色違くない?」 サイトウが,ミオンが描いたボクの似顔絵にケチをつけたのが始まりだった。 ボクのオーラはオレンジっぽいらしいんだけど,ミオンが描いたのはどうやら明るすぎるらしい。 自分のオーラは鏡でもみんな見えないから,ボクが言わないのはおかしくなかった。 「たしかに!ミオンもしかして色とか作るの苦手なのー?」 ほかの子も便乗する。 わーわーとクラスの声がする。 「ミオンもう一回見せてよー!」 ここぞとばかりにボクも加勢してしまった。 「うるさい!!!!!!」 ミオンが初めて大きい声を出してきて,いきなりボクの肩をなぐってきた。 「見るなこの!」 ミオンがサイトウにもつっかかるが,ガタイの大きいサイトウにすぐに跳ね返される。 「あーもう!!」 ミオンが暴れ,パレットが飛ぶ。水入れがぶちまけられる。 茶色と青と薄オレンジ色とが混じった液体が目の前を飛ぶ。 「何してんだよ!」 ボクの絵にも,にごった水が飛んできて,さすがのボクもミオンにつかみかかる。 「なんだよ,お前も下手なくせに!」 ボクより小さいミオンは意外と力があって,ボクとミオンは取っ組み合う。 「ちょっと,やめなさい!」 慌ててコンドウ先生が止めに入ってくる。 教室は大混乱だ。
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