ヒガン

でも、今に至るための必要なプロセスだったんだよね、今思うと。
この「ヒガン」が、高校生の俺が、手を出せる程度の金額なのも凄い。
せめて半年後の大学受験まで、コンスタントに手に入ると良いのだが。

さてさて、今夜の売人は誰だろう？
トイレの入り口で行きかう人を見ながら、それらしい人がいると、左手で鼻をこすって合図を送る。

すると、二十代前半位の女が、俺に近づいてきた。ゆっくりと獲物を狙うチーターのような動きで。
そして、女はおもむろに両腕を俺の首に回し、キスをし、舌と一緒にカプセルを入れてきた。
女は微笑んで、俺から金を受け取ると、悠然とその場を去った。