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俺がビシッと敬礼をしながら笑顔で言うとそれを見た隊長がまた鼻を抑えていたからちょっと引いた。
妄想すんなよ腐男子め。
俺もだけど。
いやあ、この時ほど自分が妄想してるひとのことを哀れんだことないよ。ごめんね。これからもしていくと思うから慣れてね。
「そっかぁ~、いつもありがとぉ~」
『いえいえっ!当たり前のことですからあ!』
俺は行ってないけど見てただけなんだけど(2回目
「ふふっ…煉ちゃんは優しいなぁ~」
あ、なにこれなんか罪悪感が……う"。
『そんなことないですよおっ!……あ』
「ん~?」
隊長の手元にある資料の数。
そして、パソコンの左隣に置いてある資料の数。
たぶん左隣に置いてあるのが終わったもの。
手元にあるのが片付けている最中のものだろう。
全部親衛隊のものじゃない。当たり前だ。
親衛隊は言ったらファンクラブと同じモノなんだから資料を片付けるなんて仕事あるわけがない。
そう、これは生徒会のものである。
基本的に生徒会の手につかないものはこちらへ全部引き渡されるシステムになっている。
あちらからしたら不本意ながらもできた組織なんだからこちらもこちらで利用させてもらう、といった感じの思惑なんだろう。
確かにかの生徒会さまの仕事を生徒会さまのために片付けることは親衛隊の隊員たちからしたらご褒美と言っても過言ではないのだろう。
それだけ大好きで、憧れているんだ。
だけど隊長は会長のこと生徒会自体のことも
好きではないだろう、言うならば嫌いなはずだ。
だって王道だから。
見た目で判断されることを一番嫌うくせに自分たちも結局、見た目で判断している。
嫌っているくせに見た目や家柄、それを贔屓されることを当たり前だと感じている。
それを他人に押し付けることさえも。
なのに。
『隊長お、いつもありがとうございますう!』
隊長は優しい。悪く言うならばお人好し。いや、八方美人なのかもしれない。
それがこの隊長の弱さでもあって、魅力でもある。
要領は良いくせに変なところで不器用で、正義感のあるとっても頼りになる人。
だから俺はこの人の部下にいる。
俺のその言葉に隊長は驚くように目を開けると、
「ん、ありがとう」
変な返しと同時に優しく笑った。
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