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《お疲れ様です!ツンデレくんも頑張りましたね!》
「っつ、ツンデレじゃないし!」
《ではでは気になるお題ですが、彼氏さんは何を引いたのですか?》
「それはもちろん"大切な人"です。」
「っへ?」
「南くん、愛してるよ。大切にするからね。」
「〜~っそ、それは俺もだし!!」
「…!うれしい」
「うっ、か、かわいい…」
「何言ってるの、南くんの方がかわいいよ」
「っな!?」
《はいはーい!仲睦まじいのは大変宜しいけど彼女も彼氏もいない俺からしたらただの嫌がらせですよ!わかったらすぐに戻るー》
そうして可愛いカップルをゴールまで見送ると、第二走者が走り出す合図が聞こえてきた。
うはあ、萌えましたありがとう。
『会長さまも彼氏、ほしくないんですかあ?』
「貴様がなってくれるのか?」
『へえ〜寂しいですねえ』
「聞け」
最近会長さまのツッコミがより鋭くなった気がする。いやあ、弟子の成長をこうして目にすることができてよかったよ。
あ、うそですうそだからそんなに睨まないで。
「あ、あいつは貴様の友人じゃないか?」
『え?』
会長さまに促されるようにその視線を追いかけると、そこには紙を手に取った大神くんの姿があった。
しかもなにやら大神くん顔が赤い。
え、なにそれなにかあったの?
それかその手にある紙が原因なの?
顔を赤くして固まる理由、なんてひとつしかないよね。そうだよねあれだよね王道だしね。
「貴様、顔が残念になってるぞ」
『自覚済みですよお』
「……」
そんなのとっっっくの昔に自覚してますよ。
もうね、仕方ありませんから。
だって萌えるんだもの。
王道の展開すぎてもう膝が笑って仕方がない。
震える。心と共に震えてる。激震であります。
発狂する許可をもらっていたとすれば僕は喜んで発狂させていただきますよ。
《なにやら固まる大神選手!一体、彼の手の中にある紙にはどんな言葉が!》
そんな放送が流れば、大神くんは肩をビクリと震わせると慌てて走り出した。
放送のせいなのか傍観する生徒は皆、大神くんへ視線を向けていた。
彼が走る先そこは…青月組?
!!!( ゚д゚)ハッ!!!!!!!!
っっっっっえ"!!!!!!
そ、そそそそそれはもしもしもしのもしかして!!?
そうだったね!そういえば君ってばハルデレというあだ名があったんだったね!!!さすが!!!!
「……青月組か。」
『…………ふう、そうみたいですねえ!』
「……。」
胸が高鳴って仕方がない。興奮しすぎて倒れそ。
まずは深呼吸を何度もして落ち着かせる。
言葉を交わした会長さまからなにやら呆れた視線を受けたが今の俺にはそんなの何も痛くありません。
ただただ高揚感だけを感じます。
遥。君が総受けという称号を掲げ、イケメンたちを翻弄させる姿を見る日もそう遠くないかもですね。
最高かよ。
「───っは、遥…!」
皆が大神くんに注目する中、本人は青月組のテントに到着すると友人と雑談していた遥に向けてその名を叫ぶ。
「大河?」と不思議そうにきょとんと首を傾げる遥サン。なにそれあざとっっ。
「い、一緒に来てくれない…か?」
喉の奥から出した声は掠れていた。
余っ程緊張したのだろう、と丸分かりな様子を目の前で見ていた遥はそんな彼に首を傾げるその体勢のまま開口した。
とびっきりの笑顔を見せてこう言ったのだ。
「大河の仰せのままに……なんつってな。」
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