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案の定そのお言葉に沸騰するのではないかと心配してしまう程までに顔を真っ赤に染める大神くん。
あれが跪いて右手を左胸に当てる体勢だったら、もっと最高だった。執事とか騎士とか主人に忠誠を誓うキャラっていいよね。
そこに腐があれば尚良しなんだが。
真っ赤な大神くんとその大神くんに首を傾げる遥ふたりは仲良くおててを繋いでゴールへ。
一応未だに遥は鬘をつけているのだが、ここ最近では遥の人柄のおかげか生徒の皆さんは寛容になりました。
今では大神くんの好意も認められ、応援する生徒もちらほら存在するらしい(隊長が言ってた)。
だからなのか、ふたりが手を繋いで走っても応援の声しか聞こえてこない。
すごい…アンチがいなくなった配信者のコメント欄を見ている気分になる。
《大神くんおめでとうございます!!》
「オ、おウ…」
ゴールを着ると司会である放送委員からのお祝いのメッセージを受け取る大神くん。
めちゃくちゃにやけてますぞ、オカン。
でもほんと大神くんってば成長したよね。
ママンは嬉しい限りですよぐすんぐそん(号泣のつもり)。…はあ、ついに大神くんも告白かあ。
結果はナシにしてもアリにしても、彼が告白することによって遥の大神くんに対する意識も変化するだろうし、損はないよね。
見ている限り、遥が今好意を抱く相手っていないっぽいし。
……そろそろマジで隊長を総受けにしようか、迷うなあ…。俺としては偽チャラ男総受けも王道転校生総受けもどちらも美味しいんだが、偽チャラ男総受けを選ぶと腐男子受けもついてくるのだ。
こんなの、迷うに決まってる。
「貴様いい加減その緩んだ顔ヤメロ」
『……』
ツッコミと共に俺の扱い方もひどくなったよ、この横暴会長さま。
だから俺虐められて喜ぶ類の性癖なんて持ってないってば。
会長さまのお言葉は無視して、注目の的である彼らへ視線を向ける。
《ではでは!大神くん、その手の中にある紙にはどのようなお題が書かれていたのですか?!》
どこからか息を呑む音が聞こえた。ドクドクと緊張で高鳴る鼓動が聞こえた。手汗を握……あ、これ全部俺ですねはあく。
自身を落ち着かせるように呼吸を整えた大神くんは放送委員から手渡されたマイクを握りしめるとそのいつもとは違った、真剣な眼差しで遥の顔を一心に見つめる。
そして───
《……っお題は"クラスメート"だ。
遥、無理は承知だ。俺のクラスメートになって、くれない、か…っ!》
まるで告白セリフを叫ぶかのように真っ赤に染めた顔で右手を遥の方へ差し出す大神くん。
辺りはいつの間にか静まり返っていた。
周りの生徒も、生徒会も、風紀委員会及び各委員会も、教師も…たまたま止まっていた小鳥でさえもポカンと呆然とその場に留まった。
声も出なかった。
どこからツッコミを入れるべきなのか悩んだから。
クラスメートでなければ同じクラスとは言わない。授業も共に受けない。まず遥と出会う可能性もなかった。…………さて、ここはクラスメートであることの認めを乞う場所なのだろうか。
うん、きみってツッコミ要員じゃなかったの???
なんできみがボケてんの???
そう俺は呆れながらその場面を眺めていた。会長さまも俺と全く同じ目を向けていた。
だが、俺たちは間違っていたらしい。
だって、
「……っ、もちろんだよ!大河!」
え、なんでみんな胴上げしようとしてんの???
いやいや涙ぐむなよ。ちげーよ、そういうシーンじゃねーよ。
…………おれが、まちがってんの?((( ;゚Д゚)))))
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