表 と 裏

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隊員たちが校舎内に入っていくのを見送ると、俺も用事はこれだけなのでさっさとその場を去る。 そして、ある場所へと足を運んだ。 ───目的地に着けばその扉の前に立ち、コンコンと優しくドアを叩く。 「?はあ~い」 返ってきたのは少し違和感感じる間延びした、優しい低すぎない声。 それを耳に入れて確認した俺はガチャ、と音を立てて目の前の扉を開けた。 「あ、煉ちゃんだぁ~。おはよぉ~」 そこで俺を出迎えたのはへらへらとしながらも爽やかな笑みを浮かべて手を振ってくるイケメンさん。 『おはようございますうっ!隊長お!』 そう、ここは俺たち専用(会長側)の親衛隊室。 そしてこのイケメンさんは我ら会長親衛隊の2年生ながら最近隊長に任命された結城(ゆ う き) (ひ か る)先輩である。 ちなみに彼、偽チャラ男の腐男子だ。 そのため素は知らないけれどサラサラな金髪に楊梅(や ま も も)色のカラコン(確実)を変装用具として身につけている。これまた端正な顔立ちをしているから似合うんだけども。 ん?なんで隊長が変装してる腐男子と分かるかって?そりゃあ…。 「……、ぐはっ煉ちゃんの上目遣いぃ…!かわいい!萌える!!さすが親衛隊のお姫様!これで生徒会のフラグを立てていくんだね、わかります!((ボソッ」 ……ね?一応小声で話しているが俺は隊長の近くに身を置いているため丸聞こえなんだよね。 この人ほんとに演技する気あるのかな。抜けすぎだよ ちなみに俺が転入してきたときの腐男子がこの隊長さんだ。ほんとに偽チャラ男だったというのは嬉しくはないが少し感動した。 で、言ってなかったけど俺も腐男子☆ え?わかってた?だよね☆ 『隊長お~?どうしましたあっ?』 未だに「萌える!!」と言っている隊長に向かって首を傾げて話しかける。 妄想から戻ってこい腐男子。 あとそこに零れた鼻血拭いとけよ。 「ぶびッぐはっ……上目遣い!かわいい!((ボソッ」 だから聞こえてんだよ。てかうるさい。 先輩の背が高すぎなんだよ。 嫌味か、おい。 てかなんだよ、「ぶびッ」って。 『隊長お~?』 「──はっ!……あ、ごめんねぇ~?で、煉ちゃんはどうしたのぉ~?」 先輩はもうチャラ男やめた方がいいと思いますフラグしか建ってない気がしますよ。もちろん俺は大歓迎。 『はあい!ご連絡致しますう! 先程会長さまのお出迎え完了致しましたあっ!』 俺は行ってないけど見てただけなんだけど。
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