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短かった梅雨の明けた土曜日。午前八時に僕は目を覚ました。休みの日はこのまま九時近くまで惰眠をお腹いっぱいまで貪るのだが、今日はそうはいかない。
彼女と出かけるからだ。
付き合い始めて一年以上経つが僕は未だにこの状況に落ち着けないでふわふわしている。相手も初めはそんなかんじで、キラキラした大きな瞳で僕を見つめてくれていたり、照れて頬を赤くしたりしたものだが最近ではもう付き合う前と同じかんじだ。冷めたのではない。保温されているのだ。僕はそう信じている。
万年床から起きだし、トイレ、洗顔の順に滞りなく済まし、最後に頭に冷水をかけて完全に頭を覚醒させた。夏の習慣である。
リビングに向かうと、すでに朝食を済ませ、ソファでテレビを見ながらくつろぐ母の姿があった。
僕は6枚切りの食パンを冷蔵庫から取り出し、トースターにセットした。トースターが仕事をしてくれている間に僕は再び冷蔵庫の扉を開け、中から卵を二つとプロテインの入った袋を取り出した。
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