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今日は彼女の友人の経営するカフェに行く予定だ。僕はその友人と面識がないが、話を聞くかぎり、その友人は彼女よりも年上で、いくつか歳が離れているようだ。どういった経緯で知り合ったのかは不明だが、自分よりも年上の方と友人になるのはどんな気持ちなのだろうか。彼女のコミュニティを拡げる力にはいつも感心させられる。そんなことを考えていたらいつの間にか日付をまたいでいたのだった。
*
僕は白地によくわからない英字がプリントされた長袖のカットソーに細身で紺色の綿パンを着た。菜箸みたいな腕を隠すためにも長袖は必須だと考えたのだ。カジュアルになりすぎないように靴は豆のようなシルエットのスウェード素材のものを履くつもりだ。ジャケットくらい羽織ったほうが良いだろうか。いや、よそう。暑い。
腕時計を左手首に巻き、メッセンジャーバッグに荷物を詰めた。
まだ、予定していた電車の時刻ではないが、早めに出て集合場所に行く前に駅のトイレかなんかで汗を引かせたい。
よし。と玄関で靴を履いていざ外に出ようとした瞬間、靴箱に据え付けられた姿見が目についた。
この格好。大丈夫だろうか。
自室で見ていた時は気にならなかったのだが、改めてみるとなにかがちぐはぐなように見えてきた。いや、これ近くのスーパーへ買い物に行くときと同じ服装ではないのか。カットソーも着古していて毛羽立っているし、細身のズボンのせいでO脚が目立っている。それに靴もズボンと全く合っていない。
「...」
僕は部屋へと引き換えした。大丈夫。目的の電車に乗るためには三十分以内に家を出れば良い。
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