夏色の空とレモンスカッシュ

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外には真っ青な空が広がっている。 この間までのジメジメした空気が嘘みたいにパリパリしている。 溜まっていた洗濯物を一気にやっつけて風に揺れる洗濯物をみて思いっきり背伸びした。 遅めのブランチを簡単に済ませて丁寧に入れたコーヒーを飲んでいたらシゲアキが起きてきた。 「おはよう」 「んー、はよ。」 まだ寝てるんだかなんだかフラフラしながら洗面所に顔を洗いに行ったようだ。 昨日も遅くまでというか朝方まで書いていたようだし、仕方ないのだけど、それにしてもせっかくの男前が勿体無い程のヨレ具合だ。 柑橘の様な爽やかさはベッドに置き忘れて来たのだろうか。 だけど、こんな姿の彼をみられる幸せを感じて緩む頬。 幸せとはこういうものなのかもしれない。 そんな事を思いながらまた外を見てぼんやりしていると怪訝そうな顔に声をかけられた。 「何かいいことあったの?」 「なんで?」 「なんかにやにやしてるから。」 「そう?別に何でもないよ。」 「ふーん。」 「シゲの無精髭ってなんかレアだなーって思ったの。」 「は?」 「だっていつも綺麗にしてるからさ。そういう姿見れるのも私だけなんだなーとかって思ったわけですよ。」 「そう。」 「あ、なんか照れてるー。」 「照れてないし。」 仏頂面なのに耳だけ赤くなってるシゲアキを見たら愛おしさが爆発して、立っている彼に抱きついた。 「わっ」 とよろけながらも抱きとめてくれる。 背伸びして肩口に顔をうずめるとシゲアキの匂いがする。 顔を上げて右手で顎の辺りに触れるとザラザラとしたヒゲの感触がする。 「ジョリジョリしてる」 「そりゃーヒゲですから」 「うりゃ」 そう言って私の頬に顎髭でゴシゴシしてくる。 「痛いー」 「お前も俺の足踏んでる」 「シゲアキが先にやったんだから知らないよー」 笑いなごらシゲアキの両方の足の上に乗る。 2人でヨタヨタペンギンみたいに歩いて笑う。 「子供の時お父さんにやってもらったな」 「俺はお前のお父さんじゃないって。こんなでかい娘怖いだろ。つうか心配すぎて寝れねーよ。」 「なんでよー。めっちゃ可愛いでしょーよ。」 「だから。いっつもふわふわしてて、良い大人のくせに危なっかしいんだよ。」 そう言いながら私の鼻をつまむ。 「ぶーぶー。」 「おもしれー顔。」 やり返そうとしたら2人でバランスを崩してソファーに倒れこんだ。
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