青色アイデンティティ

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青。アオ。AO。 そう口にしただけでなんだか、瑞々しいような気がしてくるから「青」は素敵だ。 歯ブラシだって、シャープペンシルだって、ブックカバーだって、アタシの持ち物はみんな青。…おかげでアタシについた渾名は「青星人」。誰かが面白がって、からかったりしているのをたまに聞いたりもするけれど、気にしない事にしている。だって、アタシが青星人をやめたってなんだって、必ず粗を探して違う渾名がつくだけだって、アタシは既によく知っているのだから…。先に理由があって意地悪するんじゃない。意地悪したいから、理由を探してる。…暇な人間なんてそんなもの。 他人の暇つぶして、アタシの好きだって大事な気持ちを捻じ曲げるくらいなら、全部くだらない。 親も。先生も。友達も。世間も。 くだらないな。 くだらないな。 くだらないな。 くだらないな。 …爽やかなスカイブルーの絵の具で軽やかに塗りつぶししてやりたい。 そんな気持ちの決意表明を込めて、アタシは今日も胸を張って、青を愛していたいと思う。 嫌な気持ちで胸が張り裂けそうな時は、意識を私からどんどん離して、空の透明で伸びやかな青にアタシはなる。そうすれば、きっと心は洗浄されたようになって空も飛べると思うの。 怒りがこの胸を支配する時は、水のように融通無碍な清らかなブルーになる。悪い感情を綺麗な青の流れに乗せて、全て受け流してしまうの。 ざわざわとこの胸が激しくかき乱される時は、北極の氷の穏やかなアイスブルーになるわ。…世間の喧騒を冷たいアツさでやり過ごしてみせるわ。 悲しみに暮れる時は、酸素が足りた青い美しい火になるの。…静かにこの胸を反撥する悲しみを燃料に、人知れず希望の燈火をそっと燃やすのよ。 …だから、アタシは好きな青を、これからも思いっきり楽しむの。そして、青を楽しむみたいに、アタシの心の声に従って、興味をもつものを思いっきりやり尽くすの。 …自分が好きなものを、世界中の誰にも、捻じ曲げられたくはないから。 …アタシの青みたいに偽りのない気持ちを誰にも汚されたくないから。 アタシは今日も青を愛する。
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