episode3:この体との付き合い方

4/6
前へ
/21ページ
次へ
「お待たせっ、桃さん参上、やで」 「こんにちは、お呼びして申し訳ありません。」 「ええって。それより、その堅苦しい言葉なんとかならん?気になって気になって…」 「ごめんなさい…これ以外の話し方を知らなくて…」 「そっかー、まぁ、母親学級でもそんな感じやもんな。 で?なに?呼び出したのには訳があるんやろ? ほれ、お姉さんに話してみぃ」 桃さんはご両親が転勤族だったらしく、いろんな方言が混ざっていて、転校が多かったせいかとても明るく馴染みやすいキャラだ。 「桃さんの義実家って、食堂でしたよね?」 「そうよー、この体やのにさ、仕込みやら接客やら大変よー、住み込みの人募集しとるんやけど、全然来んくて。」 「…あの、私、雇ってもらえませんか?」 「…ごめん、耳が遠くなってしまってな、もう一回…」 「雇ってください!」 そう言って、生まれて初めて土下座…を仕掛けたが、お腹がぽっこりしてきたためにしずらくて、地面に正座して両手をつけるくらいにしておいた。 「ちょ、待って!顔上げて!?てか座って!?目立つし!」 「あ、はい。」 「…なんか事情があるな?」 「…はい」 「ここは奢る、うちに来て話そう。」 「あ、いえ、呼び出したの私ですから、払います。」 レジで万札を何枚か出すと、一枚以外全部返ってきて、一万からおつりがきた。 「…あんた…」 「?」 首を傾げる。 「いや、なんでもないわ」
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加