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「お待たせっ、桃さん参上、やで」
「こんにちは、お呼びして申し訳ありません。」
「ええって。それより、その堅苦しい言葉なんとかならん?気になって気になって…」
「ごめんなさい…これ以外の話し方を知らなくて…」
「そっかー、まぁ、母親学級でもそんな感じやもんな。
で?なに?呼び出したのには訳があるんやろ?
ほれ、お姉さんに話してみぃ」
桃さんはご両親が転勤族だったらしく、いろんな方言が混ざっていて、転校が多かったせいかとても明るく馴染みやすいキャラだ。
「桃さんの義実家って、食堂でしたよね?」
「そうよー、この体やのにさ、仕込みやら接客やら大変よー、住み込みの人募集しとるんやけど、全然来んくて。」
「…あの、私、雇ってもらえませんか?」
「…ごめん、耳が遠くなってしまってな、もう一回…」
「雇ってください!」
そう言って、生まれて初めて土下座…を仕掛けたが、お腹がぽっこりしてきたためにしずらくて、地面に正座して両手をつけるくらいにしておいた。
「ちょ、待って!顔上げて!?てか座って!?目立つし!」
「あ、はい。」
「…なんか事情があるな?」
「…はい」
「ここは奢る、うちに来て話そう。」
「あ、いえ、呼び出したの私ですから、払います。」
レジで万札を何枚か出すと、一枚以外全部返ってきて、一万からおつりがきた。
「…あんた…」
「?」
首を傾げる。
「いや、なんでもないわ」
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