4人が本棚に入れています
本棚に追加
「で?何があったん?」
「…えっと…話したら雇ってくれます?」
「話次第で旦那に言っちゃる。他人には言わんから、安心しぃ」
「あの…全部を話す訳には…」
「うちは身元のわからん人雇うほど余裕ないで?
いいから、話してみぃ?」
そう言って、笑った。
きっと、私が悩んでいることもわかったんだろう。
優しい人だ。
誰かもわからない人の性的暴行により気がついたら妊娠していたこと
毒親であること
家を出たこと
18歳であること
苗字は違うが名前は栗音であっていること
今までハッキングと株で稼いできたこと
今の仕事じゃ食べていけても子供を幸せにできないこと…
全てを話した時、私も桃さんも泣いていた。
「お金には、生意気と思われるかもしれませんが、困ってません。
ただ、子供を不幸にしたくな…」
言葉を紡いでいるうちに、桃さんがハグしてきた。
「よう一人で頑張ったな」
そう言われて、涙はもう止めることができなくなった。
最初のコメントを投稿しよう!