(未定)

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雨が降り止まず、地面をズルズルに溶かしていく。 その雨が私にも降れば、凝り固まった色々が流れていくんじゃないかと、濡れない室内から窓を見て思う。 何度も携帯をいじり、もう見慣れた写真をまた見ている。 音のしない秒針に目を移し、ため息をついて立ち上がった。 今日は、壱くんの入院中のおじいさんのお見舞いと洗濯物を預かりに行く日。 昨日、壱くんの家の前に置かれていた新しい着替えを渡す。 少し、わははと笑い声を聞いて帰って来る。 会うと、元気をくれるお爺様。 様を付けるほどの上品さはなさそうだけど、太陽のように明るい。 でも、最近、眠っている事が多くなった。 今日は、起きていて欲しいな。 あの笑い声を聞きたい気分だ。 有無を言わさず背中を押してくれるような、ちっさいコトをゴチャゴチャ考えてねぇで走れ、若いうちは!って。 それでいて、最後には 「壱、無理してねぇか?」 って心配そうに呟く。 きゅぅ…っと子どもの壱くんの背中を抱きしめてあげたくなるような、そんなノスタルジックな気分になる。 大丈夫ですよと、ハッキリ伝えるほど壱くんに会えてないんだけどね。 それでも、 「私は、いつでも壱くんがおにぎりって言うなら握りに行きますよ。」 って伝える。 その時、おじいさんの肩の力が抜け下がる姿がこれまた切なくて。 私は、きっと壱くんを嫌いになれない。
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