第2話 居酒屋にて

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「新庄くんは27だっけ? 若いから肉好きなのはわかるけど、まぁ、野菜は食べた方がいいと思うよ。でも、何事もバランスだとは思うけどね」 「そう言っているけど、東さんは色々とバランス悪そうですよね」 新庄がからかう様に言うと、東は苦笑いをした。 東は思う。 ……あれ、いじって来るなんて、新庄くんってこんなキャラだっけ? まぁ、俺の事をお気に召してくれたのかな? めずらしい子だな……。 東がそう思っていると、近くの席で若い男と女が怒鳴りあいを始めていた。 男も女も二人とも、その場に立ち上がって、周りの目など気にせず、激しくやりあっている。 「あなたは才能のある人なのよ。なのに……どうして……どうしてやめるなんていうのよ!!!」 「勝手に決めんな!!! お前はいつもそうだ!!! 俺に才能なんかありゃしねぇよ!!!」 恋人同士のケンカ? いや、そんな感じでもない。 どうやら、何かをやめたがっている男を、女が止めているようだ。 東はそのやりとりを聞いていて、右手の爪と肉の間に針を入れられた感じがした。 「もう知らねぇ!!!」 男はそう言うと、数枚のお札をテーブルの上に乱暴に置いて、店から出て行った。 一人残った女は、泣きながらブツブツなにか言っている。     
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