61人が本棚に入れています
本棚に追加
/312ページ
「あなたはすごいのに……。誰よりも才能があるのに……あたし……生まれて初めて感動したんだよ……。昔から学校でもみんなに“絶対プロになれる”って言われて……。なのにどうして……どうして……」
しばらくすると、女は出て行った。
その姿はお酒のせいもあるのか、かなりフラフラしていて、誰が見ても心配になるほどだった。
新庄が静かに言う。
「かつて非凡の象徴だったものも、才能の群れの中では平凡だった、という残酷さ……。まぁ、よくある話です」
東は新庄の言葉に納得したが、聞いていてとても悲しくなった。
最初のコメントを投稿しよう!