第2話 居酒屋にて

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「あなたはすごいのに……。誰よりも才能があるのに……あたし……生まれて初めて感動したんだよ……。昔から学校でもみんなに“絶対プロになれる”って言われて……。なのにどうして……どうして……」 しばらくすると、女は出て行った。 その姿はお酒のせいもあるのか、かなりフラフラしていて、誰が見ても心配になるほどだった。 新庄が静かに言う。 「かつて非凡の象徴だったものも、才能の群れの中では平凡だった、という残酷さ……。まぁ、よくある話です」 東は新庄の言葉に納得したが、聞いていてとても悲しくなった。
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