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東がそう言うと、新庄は店員を呼んで、マリブミルクを頼み、東のコーラハイボールも注文した。
注文が終わると、にこやかに新庄は言う。
「人生に確実な答えなどない事は誰でも知っている。それでも進み、揺らいでいく中で、生きるための手応えみたいなものは感じられるんじゃないかなぁ」
東は思う。
……生きるための手応えか。
今の生活にそんなものがあるか?
安月給で馬車馬のように働かさせ、両親にも追い詰められ……。
そう思う東は、店員が持ってきたコーラハイボールを一気に飲み干した。
……でも、こんな俺を好きになってくれた人の多くはいなくなってしまった。
全部、俺のせい……。
だからこそ、せめてまっとうに……。
東のその感情は、悲しみの涙でできた暗い水の中へ沈んでいくようでもあった。
もう泣き喚いたりする事はないが、悲しみが癒える事はない。
そればかりかいっそう深まるばかりだった。
その影響か、東は二つのものを失った。
涙と言葉である。
ある時から、涙は瞳からではなく胸に流れ、先ほど言った水が溜まっていく。
その中に沈んでしまうと、もう他人に助けを求める声を失うのだ。
東がかなり酔ってくると、新庄が言う。
「もうそろそろ行きましょうか」
そして二人は店を出た。
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