第2話 居酒屋にて

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「村上春樹好きなんだ。わりと新しいやつだよね?」 「そうですね。それよりどこにします?」 新庄がそう言うと、二人は歩き出す。 切符売り場から歩いていると、茅ヶ崎駅の駅ビルが大分変わっていて、東は驚いていると、新庄が笑った。 「どう変わったんですか? 別にどこにでもある駅ビルじゃないですか?」 前はここまでオシャレな感じではなかった。 都会っぽい。 そう思ったが、でも東は詳しくは話さなかった。 二人は、北口をエスカレーターで降りて行き、適当に目に付いたチェーン店の居酒屋に入ることにする。 「いらっしゃいませ!!!」 アルバイトの大学生だろうか? 誰もが振り向く美人ではなかったが、愛嬌のある、きっと誰からも愛される女の子が大声を出していた。 とても笑顔で、感じのいい接客だ。 二人は席に着き、注文を訊かれる。 「お飲み物の方から先にお願いします」 女の子ははつらつと言う。 「東さんは決まってます?」 新庄が訊くと答える東。 「うん。あのすみません。食べ物もいいですか?」 そう言われた店員は笑顔で頷く。 東はメニューを見なくても、注文するものが大体決まっているのだ。 「俺はコーラハイボールと大根のシャキシャキサラダ、あと海鮮サラダ。新庄くんは?」 「じゃあ、僕はブルーハワイで」     
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