第4話 カロリーメイト

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第4話 カロリーメイト

駅周辺の道を東と新庄は歩いている。 明日は休日だというのに人通りがやけに少ない事が、テレビでやるニュース以上に東に不況というやつを感じさせた。 「雨が降ってきましたね」 新庄はそう言うが、東にはそれがわからなかった。 しかし新庄の言う通り次第に雨が強くなっていく。 「東さん。まだ大丈夫ならうちに来ません?」 東が了解すると、新庄はタクシーを拾おう、と言った。 「歩いて行こうよ」 「いや、結構遠いし。雨も降ってきてるし、それに時は金なりって言うでしょう」 東は新庄の言うとおりだと思った。 小金を気にして時間を大事にしないから、自分はダメなんだと、昔に読んだ自己啓発の本の事を思い出す。 そして二人はタクシー乗り場へ向かった。 昔は必ず行列があり、順番待ちをしたものだが、人通りが少ない事もあって、すぐにタクシーの乗れた。 乗り込むと運転手が言う。 「お客さん。どちらまで?」 「とりあえず茅ヶ崎海岸の方へ向かってください」 新庄がそう言うと、運転手は簡単に返事をして、タクシーを出発させる。 東はかなり酔っていたせいか、黙ってタクシーの窓から外の風景を眺めて、気分を落ち着かせようした。     
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