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第5話 ガウェインの結婚
コーヒーを飲みながら東は考えていた。
東は自分の経験からすると、最終的に金銭なのではないか? と思ったが、お金持ちが必ずしも女性に好意を持たれるわけではない事も知っていたからだ。
「う~ん。なんだろう? すべての女性かぁ。難しいね」
「東さんは、“ガウェインの結婚”を知らないんですね」
新庄は猫舌なのか、コーヒーをチビチビ飲みながら続ける。
「『アーサー王物語』での話で、アーサー王は領地をのっとられたと聞いて、悪い騎士の城に乗り込むのですが、簡単に負けて、命乞いをします。そこで悪い騎士が命を助ける条件として、ある問いを出したんですよ」
「それがさっき言った、すべての女性が一番望んでいる事ってやつ?」
東の質問に、新庄は微笑む。
「そう。期間以内に正しい答えを見つければよし、見つけられなければ国はもらうと言われます。アーサー王はその後に色々な女性に訊いて回るのですが、皆、答えはバラバラ。その後、アーサー王はひとりの醜い老婆に声をかけられた。老婆は答えを知っていると言う。アーサー王は教えて欲しいと言うと、老婆は条件を出したんです」
東が訊く。
「その条件ってのはなに?」
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