第2話 居酒屋にて

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第2話 居酒屋にて

東は予定より早い時間に着いたが、新庄は先に待っていた。 ベージュのチェスターコートー、ロイヤルブルーのケーブル編みニットセーター、ブラックのスキニーパンツ、ブラウンのキャンバスシューズ。 メガネもいつもと違う、シャープなリムレスタイプに変わっていた。 職場で見る新庄はダボついた作業着を着ていて、冴えない感じだが、私服で会うとまるでモデルのようだ。 そのせいか、モジャモジャのパーマ頭までオシャレに見える。 東は思う。 ……新庄くんってよく見ると背も高いし、顔も整っていて、細いけど筋肉もしっかりついているんだよな。 東は、黒のモッズコートに黒の細身のパンツ、インナーは黒の長袖ドレープシャツ、黒のブーツで、今さら全身黒で来た事を後悔する。 ……しまった。 なにも考えてなかったから真っ黒に……。 人と会う時は、なるべく黒い服は着ないようにしていたんだけど、忘れてた……。 「早いですね、東さん」 「いや、ごめん。待たせちゃったかな」 「いま来たとこです」 新庄はそう言うと、持っていた文庫本をコートのポケットにしまった。 東は訊く。 「なにを読んでいたの?」 「村上春樹の『女のいない男たち』です」     
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