毒針

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うちの会社は一部上場企業。 ボーナスも年三回6か月分。 業務はいたって簡単。 ハニートラップを仕掛けること。 出世争いで大企業の会社の同期を蹴落とすためだったり、芸能人をハメて失脚させたり 依頼はいろいろ。 大体内部かライバルが黒幕。 社訓はモハメド・アリの名言 「蝶のように舞い、蜂のように刺す」 女性スタッフはもちろんかわいい系から美人系まで清楚系から淫乱系まで。 美巨乳からめっちゃ貧乳Aカップまで。 対象の好みのタイプをリサーチして、派遣。 飛びつく餌は鮮度のある未成年から熟成された五〇歳まで幅広い。 すべて共通することは全員ヤリマン。 純情そうに見える芝居。 秘密を抱えた女の生き様を垣間見る。 地方妻トラップ。ロックバンドにはファック隊。 見た目も、真面目な女もいれば 見た目からしてユルイ女もいる わざとピンクのパンツを見せるテクは朝飯前。 枕営業代行も手がけている。 「今夜は嫁のことは忘れて」 罠にはまって男の引き際を余儀なくされた政治家、大会社役員、俳優、芸人。 優しさも大事。彼氏がイッた後優しくティッシュでチンコ拭く女みたいに。 かゆいとこに手が届くサービス。 今宵も衰退期に入った男性アイドルに仕掛け中のハニー女が とどめの毒針を刺しに行く。 若いころ透明感があったが、今は濁ってみえた。  色んな色がついてきた。それを影や色気ととる人もいる。 そんなSランクのハニーに声をかけた。 「もう、そろそろオチ用意しとかなあかんですね。 ――オチは考えてるんですか?」 「そうですね、面白いオチ用意しとかなあかんですね」 恍けた感じの笑顔を見せ、 ハニーは財布バッグ片手に出陣していった。
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