【1】神殿騎士

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「……!」  少女は鮮やかな紅の瞳を見開き、冷えきった四肢に力を込めて地を転がった。  身体がまだ動く事に正直驚く。  冷気を伴った白い霧の塊が、少女の頬に当るぎりぎりの所で通りすぎた。 「まだ……いたのか!」  からから。  骨と骨を打ち鳴らす声を上げ、一匹の霧の蛇が、先程まで少女が倒れていた所でゆらゆらと揺れている。まるで嘲笑うかのように。  全部仕留めたつもりだった。                           なんとか立ち上がった少女はゆっくりと後ずさった。  が、霧の蛇の青白い炎の目は、少女を捕らえたままだ。
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