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「……!」
少女は鮮やかな紅の瞳を見開き、冷えきった四肢に力を込めて地を転がった。
身体がまだ動く事に正直驚く。
冷気を伴った白い霧の塊が、少女の頬に当るぎりぎりの所で通りすぎた。
「まだ……いたのか!」
からから。
骨と骨を打ち鳴らす声を上げ、一匹の霧の蛇が、先程まで少女が倒れていた所でゆらゆらと揺れている。まるで嘲笑うかのように。
全部仕留めたつもりだった。
なんとか立ち上がった少女はゆっくりと後ずさった。
が、霧の蛇の青白い炎の目は、少女を捕らえたままだ。
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