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「大丈夫かい? お嬢ちゃん」
襟足まで伸びた黒い髪をふわりと揺らし、目の前の男は白い手袋をはめたそれを少女に向かって差し出した。
薄暗くて顔は良く見えないが声が若い。
多分、二十過ぎの青年だろうか。
「……お嬢ちゃんって、呼ぶな」
少女はその手を拒むように払いのけようとしたが、すでにその体力は尽きていた。
「おっと。危ない」
前に傾いだ少女の体を、黒髪の青年は剣を持たない方の手で受け止めた。
新雪のような輝きを放つ白い三つ編みの髪が、小さな背中で弱々しく揺れる。
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