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「あんた……まさか……」
少女は紅の瞳を見開き、青年の顔を――正確にはその首元から下げられている剣の形をした銀の首飾りを見つめていた。
それは青年が右手に持っている剣を小さくしたような、同じ形のものだった。
「あんた、神殿騎士……」
少女の顔を覗き込む青年は、肯定とも言える穏やかな笑みを浮かべてうなずいた。
同時に少女の四肢から力が抜けた。
青年は意識を失った少女に一瞬憐憫の眼差しを向けると、片手で剣を鞘に収めた。
そしてその小さな体を大事そうに抱え上げると、夜の森の中へと歩いていった。
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