【3】旅の目的

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「何のつもりだ。人の顔をじろじろみて」  リセルはルーグの手を振り払おうとしたが、その青灰色の瞳に見つめられているせいか、何故か身動きできない。  全く心当たりがないのだが、同じような目をした人を知っているような気がした。  まさか。  脳裏に過ったその思いを一蹴すると、ルーグがリセルの瞳を覗き込みながら、密やかに口を開いた。 「紅い瞳と白銀の髪をした『旧き神』を知っているか? 私は『彼奴』を知っている。その名を言うのは今はやめておこう。何故、太陽神アルヴィーズの命で封じられていた『彼奴』が現世に現れ、王都の『大神殿』を破壊したのかわからないが、君は彼奴に『呪い』を受けたんだろう? その身に宿る強大な力を封じ込めるために」 「ルーグ……あんたは、どうしてそれを……つっ!」  リセルは今度こそルーグの手を振り払い、顔を覆った。  ルーグの言葉のせいか、僅か二日前に起きたおぞましい出来事が脳裏に蘇ってきた。
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