【3】旅の目的

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 その年は十分な日照を作物が得る事ができず、飢饉が各地で発生した。  翌年も長雨のせいで疫病が流行り同じことが続いた。  それを憂いた国王は、神官たちの力だけでは不十分と思い、名のある魔法使いを片っ端から王都へ連れて来させた。  そして魔法使いに太陽神を召喚させ、国王自らがこれまでの慢心を、感謝の心を忘れたことを懺悔した。  アルヴィーズ神の立腹はそれで一時解けたが、けれどかの神を信仰のみで呼び出せるものは皆無となっていた。  それからである。  魔法使いが大神官に任命されるようになったのは。  条件はただ一つ。  その力でアルヴィーズ神を喚び出せる事。  魔法使いの数は神官のそれよりもずっと少ない。  まして『神』を呼び出せる実力を持つ魔法使いとなれば、さらにその数は限られてくる。  リスティスの類い稀な魔法の才能を受け継ぎ、開花させたリセルが、彼女の後継者となるのは王命でもあった。
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