180人が本棚に入れています
本棚に追加
◆◆◆
「……わたしが、悪かったんだ」
リセルは膝を抱えて肩を丸めた。
「わたしが、『あいつ』を喚んでしまったから」
「リセル」
リセルは再び肩に置かれたルーグの手を振り払った。
顔を上げたリセルの瞳には、一筋の涙が浮かんでいた。
「そう。わたしはアルヴィーズを喚べなかった。代わりに、遥か昔、アルヴィーズ自身が自分の中にある『悪』の心を嫌い、地中深く封じた『半神』を喚んでしまった。
エルウエストディアスの民なら子供でも知っている、あの有名な神話に出てくる『半身』だ。神殿はわたしが召喚した『あいつ』のせいで崩れ落ちた。母さんも陛下もご無事かどうか全くわからない。母さんが残る力で、わたしだけを王都の外まで飛ばしてくれたから。だから、わたしは『あいつ』を再び封じ込めなくちゃならない。
『あいつ』は自分と同じ呪われし姿を与えることで、神を喚ぶわたしの『力』を封じこめたけど、わたしはそれを解く方法を知っている」
最初のコメントを投稿しよう!