【3】旅の目的

7/10
前へ
/347ページ
次へ
 ◆◆◆ 「……わたしが、悪かったんだ」  リセルは膝を抱えて肩を丸めた。 「わたしが、『あいつ』を喚んでしまったから」 「リセル」  リセルは再び肩に置かれたルーグの手を振り払った。  顔を上げたリセルの瞳には、一筋の涙が浮かんでいた。 「そう。わたしはアルヴィーズを喚べなかった。代わりに、遥か昔、アルヴィーズ自身が自分の中にある『悪』の心を嫌い、地中深く封じた『半神』を喚んでしまった。 エルウエストディアスの民なら子供でも知っている、あの有名な神話に出てくる『半身』だ。神殿はわたしが召喚した『あいつ』のせいで崩れ落ちた。母さんも陛下もご無事かどうか全くわからない。母さんが残る力で、わたしだけを王都の外まで飛ばしてくれたから。だから、わたしは『あいつ』を再び封じ込めなくちゃならない。 『あいつ』は自分と同じ呪われし姿を与えることで、神を喚ぶわたしの『力』を封じこめたけど、わたしはそれを解く方法を知っている」
/347ページ

最初のコメントを投稿しよう!

180人が本棚に入れています
本棚に追加