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「リセル」
ルーグが呼びかけてきたがリセルは無視した。
うるさい。
こっちは早く寝て体力を回復しなければならないんだ。
なんせあんたみたいな大人の男じゃないから、とにかく体力がないんだ。
「……そうだな。しばらく寝た方がいいな。見張りは私がやるから安心してくれ」
そうですか。
それはとってもありがたい。
リセルは両目をつぶった。このまま眠ろうとおもったが、彼のマントを被ったままリセルは小さくつぶやいた。
「ルーグ」
「何だい?」
「助けてくれて……ありがとう」
ふっと神殿騎士は笑い声を漏らした。
「おやすみ」
「……」
リセルは返事をしなかった。いやできなかった。
忍び寄る睡魔にとうとう捕まって、夢をも見ない眠りに落ちてしまったから。
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