二番目に好きな色

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ノートの種類は想像以上にたくさんあった。さすが、地元屈指の百貨店。ああでもないこうでもないと二人で悩みに悩んで、ドット柄の五冊セットのノートに決めた。 友達と買い物に行くと、お揃いにできるのが嬉しい。すぐにレジに行こうとしたのだが、今日ばかりはお金持ちの咲がシャープペン売り場で立ち止まった。 「せっかくだから、ペンもお揃いで買おうよ」 今日ばかりは私も小金持ちだから、異存はない。色とりどりの鮮やかなペンの群を眺めているだけで楽しい気持ちになる。 「これなんて、どう?」 咲はピンク色のシャープペンを取り出した。花柄で、握りやすそうなグリップも付いている。 「可愛い。いいね」 実際に握って試書きしてみる。悪くない。このペンを持って勉強している自分も想像してみる。悪くない。 「色違いにしようよ」 咲はそう言って他の色を物色しだした。 「やっぱり、ピンクかな」 咲は最初に選んだピンク色のペンを、買う予定のノートの上に重ねた。 「葵はどうする?」 私も一つ一つ色を見ていく。赤、黄、青、緑、白そして、ピンク。もう一度、ピンクを見る。それから、青を見る。 「私は、これかな」 青色のシャープペンを、買う予定のノートに重ねる。これでいい。シャープペンの握り心地だって一緒だ。色くらい、なんでもいい。 私は、二番目に好きな色を選んだ。
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