二番目に好きな色

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部活中の水飲み器からの給水は、ちょっと病み付きになるほど爽快だ。父親が呑むビールも同じようなものなのだろうか。飲み終わった後の吐息が父親と似ている、と思う。 「葵、それオヤジくさいよ」 とっくに水飲み器からの給水を終えた咲が眉間に縦皺を作った。 「豪快に飲まないと飲んだ気しなくって」 後方では、バドミントン部員が試合をしている。ラケットでシャトルを打つ鋭い破裂音が心地良い。私もさっきまで咲と試合をしていたのだが僅差で負けて、しばしの休憩となった。 私たちが部活をしている体育館の扉を開けると水飲み器があり、更にその扉の向こうはグラウンドになっている。水飲み器のある小部屋のような空間とグラウンドまでの段差は階段になっており、その階段に座って少々サボるのも、ひそかな楽しみだった。 「あれ、戸田じゃない?」 咲の指の先には、確かに戸田君がいた。野球のことはよくわからないけれど、多分外野を守っている。 「まさか戸田と同じクラスになるなんてね」 咲が自分の膝に頬杖をついて戸田君を眺めながらつぶやいた。夕日に照らされた咲の頬はぴかぴかと光っている。 「部活が違うからまた三人で帰ることはないけどね」 自分で言って、少し残念に思う自分に驚く。 「じゃあさ、待ってようか。野球部の部活が終わるまで」 咲からの思ってもみなかった提案に、私は勢いよく頷く。 心臓のあたりがきゅっと縮まった気がした。きっと懐かしさのせいだ。
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