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 小さいため息が、音になってもれた。 誰も気付きもしないが、(ぼく)は・・・気付かれたくないのに、気にとめてほしいなんて、なんて身勝手なんだろう。  もう・・・はやく昼休みになってほしい。 いつものように、保健室で休ませてもらって午後の授業も、無事に何事もなくすんでほしい。 お昼のチャイムまで、あと1時間。  あまり興味のない授業が続いて、窓から覗く景色が作りたてのジオラマみたい。 外の世界に自分を傾けるとさっきまで気にしてた事までも気持ちが薄くなっていく。 先生や、生徒達の声が私の耳から遠のいていくかのように気持ちも少しおちついてきた。  4時間目の終了のベルがなり、皆が教科書を机の中にしまいながら、お弁当を出す人、売店に向かう人。 (ぼく)は、騒がしく音をたててる間をソッとすりぬけた。  保健室は、いつも暖かい。 先生も、何も言わずに私に付き合ってくれる。 椅子に座るといつもの飲み物のが?!・・・ ん?いつものじゃあない!  「先生、いつも私が飲んでるのは?」  「いつもの?切らしちゃって今日は、これを飲んでね。」 少し変な感じがしたけど、先生がだしてくれたから飲んだ。 先生と話しながら、パンを食べてたらなんだか眠たくなってきてしまう。  「先生、・ぼ・・の。」  「zzzZZ 。」  「ようやく寝たか。」  「えぇぃこの身体は、窮屈だな。」  いつもの先生の声とは、まったく違う年老いた男の者、先生の目も赤くて不気味。 虚ろな赤い目、ふらふらと1歩2歩、歩く。 今にも倒れそうに足が曲がっていく。
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