第4章

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第4章

『お互い後腐れなく…』 翔君の言葉が脳内でリピートする。 そうだね。もし私が独身だったら、付き合ってほしいとかって言うかもしれないし面倒だよね。 結婚してる女なら、浮気は自分も負い目だから面倒な事は言い出さないし、楽しくセックス出来るよね。多分ね。 ああ…そうか…。 私はそこで自分の勘違いに気づく。 私が翔君を好きになった気持ちと重ねた思い出は、私だけのもの。彼を好きで、彼とのキスも彼を初めて受け入れたあの日の事も、それは私の思い出。私の思い出の登場人物に彼が参加しただけで、それは彼の立場に立っても同じこと。 ここにいる皆んなも、同じクラス、同じ先生だったけど、それぞれ持つのは自分の思い出なんだ。 私は翔君に負けない笑顔を見せた。 「ホテルは行かないよ。世界で一番大好きな夫が子供の面倒見ながら待ってくれているから」 同窓会が終わったら、大切な家族と過ごす時を、私の思い出に積み重ねていくため、家に帰ろう。 自分と彼の思い出が全く同じと思う勘違いを捨てて、翔君を大好きだった思い出を大切に抱えながら、家に帰ろう。 fin
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