第1章 契機

4/17
前へ
/68ページ
次へ
ここは、とある山奥にある全寮制の中高一貫の男子校。 と言っても、中等部と高等部では、敷地が完全に区切られているので、表だった交流は少なかったりする。 けれど、ここにある保健棟に関しては、中等部高等部関係なく、怪我したり、病気になった生徒はこの保健棟に運び込まれることになっている。簡単に言うと、この学校専用の小さな病院みたいなものだ。 理由の一つとしては、俺の通っている学園が、山奥にあるせいで病院まで遠いから。 あとは、お金持ちのご子息が多く通われているから、万が一のことが起こらないために、という裏事情も含まれているのも理由の一つだ。 なので、ここには保険医、というよりは専属医師の数が、普通の学校よりは多い。 そんな学校では俺、月島尚人は。高校生ながらも、この保健棟にてお手伝いしているのは色々と理由がある。 1つは、俺が保健委員会に所属していること。1つは、医学部を視野に入れて勉強しているため、大学に入る前の前勉強として手伝わせてもらえているから、ということ。 ついでに、あと1つあるとすれば……。 「おい、月島。何さっきから、だんまりになってるんだ、ああ??」 「……えっ、と。まあ、その…」
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

208人が本棚に入れています
本棚に追加