第1章 契機

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『お前、なんか俺に言いたいこと、あんじゃねーの?』 『はい……?』 そして、冒頭の発言に至る、というわけだ。 「えーと…何のことでしょうか、先生?」 言いたいこと?そんなの今だって言いかけて…そうか、言えばいいのか。 「いい大人なんだから、そろそろ片付けを覚えて整理整頓覚えて貰えません?俺がちゃんと薬を整理してるから、先生だって気持ちよく仕事ができるってものでしょう?」 「そーか、なるほど。あくまでシラを切るんだな、お前は」 シラってなんのことだ、と言い返そうとして。 視線を合わせれば、いつもより真剣な眼差しで俺を見て来るものだから、思わず言葉を飲み込んでしまった。 から、次の言葉の意味を飲み込むのに数秒かかってしまった。 「好きなんだろ、お前。俺のこと」 「………。 はい??」
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