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すると、少し時間を置いてある一人の青年が入ってきた。
「あら〜、いつもありがとうね。」
どうやら常連の様で、女将らしき人と顔見知りみたいだ。
青年は、腰に定寸より少し長い日本刀を一振りと脇差よりは少し短い短刀が一振り差していた。
身なりは黒地に赤の牡丹が描かれている着物に紺色の袴を履いていた。
侍と言われればそうだが、なんとも、荒れているような着こなしであった。
少女は、その異様な様を見ていた。
(なんか、感じ悪そうね)
青年もまた、その少女を少しだけ見るとすぐ目線を女将に戻した。
「いつもの3つ」
そう言うと、外の席に座ると、煙草に火をつけると、ふーっと白い煙を吐いた。
「はい!いつものです!」
女将ではなく、店員が持っていくと青年は黙々と食べ始める。
一方、少女は団子を食べて書物を見ていたが、あることに気づいた。
(団子一つが五文…あ!あと五文しかない!)
どう考えても、頼みすぎなのである。
少女は頭を抱えて悩んだ。
ふと、外に目をやると、あの青年はもういなかった。
(あれ?もういない?)
少女は、そう思ったが人より我が身である。
少女はそのまま頭を悩ませながら店を出た。
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