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 転生、とは言っても、必ずしもヒトからヒトに転生するばかりとは限らない。  極稀に物質に転生してしまうといった例もある。  それは転生の“失敗”といったものではない。  神が故意で与えた罰なのである。  敢えてヒトであった頃の記憶全てを残したまま――――      ◇  私はコンドーム。別名スキン、略してゴムとも呼ばれている。  避妊・性病予防のために性交時に男性がペニスに被せて使用する薄いゴム製の袋。  私はコンビニの男性用化粧品コーナーの片隅にひっそりと置かれて売られている。 『なァなァ奥さん。あんたは何“やった”のさ?』  彼も工場から段ボール箱に詰められて一緒に運ばれてきた。隣に居る“私と同様に罪を犯した男”が、下品なガサガサ声でしつこく囁いてくる。 『なァなァ、早く潤いMAXでビッグマグナムくわえたいよなァ。俺も出来る事ならロリ巨乳JKにブチ込みてぇよ……』  気持ち悪い。  よりにもよってこんな男の隣に陳列されるとは。商品名は“潤いMAX”だけど、こいつのガサガサ声聞いてると折角の潤いが怒りで蒸発する。  聞いてないのに、勝手に自分の過去をガサガサ声で告白。どうやら私の反応を伺って楽しんでいる変態の模様。  こいつは過去に、再婚した奥さんの16歳の一人娘の連れ子を、奥さんが夜勤で出稼ぎに行ってる間、夜な夜な犯し続けてた最低な男だ。  最低――――  だなんて、私が言える立場じゃあないけど。 『なァなァ、ルール69(シックスナイン)って知ってる? 俺言ったんだから、あんたも勿体ぶってないでサッサと告白しろ(いえ)って』  ルール69って何だよ……。  聞きたかないのに自分から勝手にベラベラ喋ってきといて何なのよ、こいつ。  馬鹿ですか?  アンタみたいな奴に私の“夢”の事は話したくない――――絶対に!     
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