3・穴責め

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 うちの大黒柱の旦那様は、あの部屋にご飯、風呂、トイレ以外入り浸っている。  羅王の通ってる保育園が休みの日。私が急に仕事に出て来て欲しいと店長から頼まれて、やむを得ず休日出勤する事もある。誠に子守りを頼んで出掛けたら、案の定、羅王ほったらかしで自分は書斎でゲームばっかりしてた。  私が休日出勤すると『家族の事より仕事が大事か!』と機嫌を損ねる誠。私は朝から晩まで書斎に籠って、ご飯の時だけ台所に顔を出す様な旦那と貴重な休日を過ごすのは嫌だった。  ゲーム中、時折デカい声で笑いながら会った事もない人とチャットで交流してる姿。  私には見せた事無いあの笑顔。  “家族より仕事”  あの人の言う通り。誠なんかと居るより仕事行ってた方が笑顔になれるけれど、羅王のために休日はシフトを入れない。  誠のためではない。 「ただいま。羅王、お利口にしてた?」  仕事から帰ってきたら、コンビニ弁当のパックとお菓子の袋がリビングのテーブルの上に散らかっていた。  仕事場から帰ってきたばかりの私の顔を見た誠が第一声で放った言葉は、『おかえり』なんかじゃなくて、 「掃除して。で、すぐ作れよメシ。今何時だ? 羅王も俺も腹減った」  私には文句言うくせに、信じられない程自分には甘い人。 「――――疲れた」  仕事にじゃなく、あなたに。      ◇  “旦那帰ってきた。電話ありがとう! じゃあまた今度ねっ”  語尾にハートマークを付けて“謙介(けんすけ)さん”にラインで送信。  そう。誠が仕事終えて帰ってくるまで寝室で仕事の人と電話してた、って言ってたけど、その通話相手ってのは、彼の事。  謙介さんは私の職場の弁当屋の店長をしている。
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