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◇
「おい、おまえ。この雑貨2592円って何買ったんだよ!!」
「……ブラジャーだよ。もうやめてよ誠……」
独身中、ブラック企業で苦労してきた分、結婚したら人生がやっと薔薇色になるかと思ったけど、黄土色のまま変わらなかった。
怠けてる私も悪いけど、酷い言われよう。
こんなんじゃ、誠のために何かしてあげるとか考えられない。
羅王をお腹に宿したばかりで離婚も考えられなかった。
結婚なんて“おめでとうございます”どころじゃない。全く“御愁傷さま”だ。
◇
こんな生活が続いて、家で毎日誠と顔を合わせるのも苦痛になってきた。
お腹の中で羅王の命が育っているのに結婚した事を悔やんでいた。
お母さんになるんだから、ちゃんとしなくちゃいけないのに。
「つわりが酷いから寝てた」とか言い訳をして誠を余計に怒らせた。
市営アパートなのに、壁やドアに出来た無数の穴や傷。
これは全て誠がやったもの。
◇
羅王が産まれて3ヵ月が過ぎた。
誠は書斎に籠ってばかりで家事育児を“母親の仕事”と言って一切手伝ってくれない。
夜中頻繁に起こされては授乳。その上家事全部するとなれば流石に疲れる。
「今生理で……」
「はあ!? おまえ先週も生理言ってた違うか!? 何だ? 夫婦なのに出来ないのか!?
何でやらせてくれないんだよ!
俺は毎日家族の事考えてんのに。
どうしておまえは俺の事考えてくれないんだ!」
また明け方。気持ち良く寝ているところを口の臭い誠にキスをされて起こされて、互いにキレていた。下半身だけ出して小声で怒鳴る誠に気付き、私の隣で寄り添って寝ていた羅王がぐずり始める。
「俺ら、もう終わったな。もーだめだわ……
下半身だけ出した誠もそのままぐずってそっぽを向いた。
はぁ……本当めんどくさい。
ふて腐れた誠に“ご機嫌取り”で後ろから抱きついて、しょうがないからやってあげようとしたら、
「口でやってよ」言われた。
私が“生理中”だったから。
羅王が起きない様に見張りながら、誠の大事な所を口へ含む。さっき『生理だ』って言ったのに、下を触ってくる誠に腹を立てながら。
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