6・射精

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     ◇  謙介さんとのデートの余韻に浸りながら終電に乗って駅から自宅へ徒歩で帰る深夜0:00過ぎ。  家に帰ればつまらない現実が待っている。  アパートの門を潜って見上げると、誠の書斎の電気が煌々(こうこう)と点いているのを見て溜息。  何でアイツ起きてんのよ……。  ホテルで風呂に浸かってきたのに、家に帰って再びすぐ浸かる。着ていた服は脱衣カゴではなく、洗濯槽の中に入れて蓋を閉める。  私が風呂に入った所のタイミングで、まるでわざとかの様に歯磨きをしに脱衣所に入ってくる誠が鬱陶しい。 「早く寝やあ」  自分だって今までゲームしてたくせに、風呂のドアを開けて言ってくるとこがホント憎たらしい。  謙介さんが欲しい。  羅王を預けて遊びに出てった分際でこんな事言うのもなんだけど、久々の外出で『楽しかった?』さえも言ってくれない誠にイライラして今度は自分の指を入れてみる。そう……湯船の中で謙介さんを想い返しながら。  湯船の中だから当たり前だけど、そこには謙介さんの温もりが残っていた。  風呂を出てスマホを見ると、『伸ちゃんおやすみ』のメッセージと共に、毛と毛が絡んでグチャグチャになった“あの時”の実況付き合体動画が送られてきていた。  マナーモードにしてたから助かった。  改めて観てみるとそれほど綺麗なものではなかった。    口に絡ませちゃ、折角のムードが台無しよね……。  若い子と違って黒ずんでて締まりもないから、全部、ってわけにはいかないけど、せめて穴の周辺くらいは。  今度会う時は、ちゃんと剃って整えてから行こう。  折角送ってきてくれたけど、メッセージだけ保存して動画は布団の中で一回だけ見てから消した。  謙介さん……。  この動画、紗栄子に隠れて何度も再生するのかな。  仕事中、私と一緒に作業しながら思い出したりするのかな。  そう考えながら眠りにつく私。  もう遅いし、今日は羅王は書斎(あっち)で寝てるから、もう一度謙介さんを想いながら独りで“やって”から寝た。
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