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 店内でかかってる今流行のラップ調ポップミュージックの軽快なリズムに合わせて、上品に革靴の音を響かせながらスーツが私の側に歩み寄ってくる。  気が付けば、私の目の前で足を止めたスーツに顔を近付け見つめられていた。  この人――――まさか……嘘!!  ちょっと待って。この人は私の――――  あれから何年経ったのだろう。  面影云々じゃない。まるっきり同一人物。歳は重ねてはいるが、無精髭も綺麗に整えて以前よりも格段にお洒落な雰囲気になってるけど、確かにこのスーツはあの人――――  こんな形で、こんな所であなたに再会するだなんてこんな偶然無いだろう。  ――――いや。これは偶然なんかじゃない。  偶然と見せかけての必然。  神が私に下した罰。  決して逃れられない重い罰。  夢とあなたを壊した私への――――  スーツからゆっくりと伸びてきた大きな手。  懐かしいこの手。異様に冷たかった手。  見つめられた瞬間、あなただから買われるのは分かっていた。 「648円になります」  あなたに買われて再び地獄が甦る。  どうせなら隣の変態買って行きゃあいいのに……。  タイトル『コンドーム越しの夢』
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