7・着床

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     ◇  今日は体調がすぐれないのか、唐揚げを揚げるのが辛い。  マスク着けてるのに、湯気が顔にかかるのが気持ち悪い。  揚げ場は店長が側にいるから離れたくないけれど、仕方なく今日だけはこのポジションを山本ちゃんに交代してもらって、私は面倒臭いサラダの盛り付けを引き受けた。      ◇  あれから変わらず体調がおかしいまま、何とか仕事を終わらせた。  保育園に羅王を迎えに行くと、担任の先生に直に注意された。今朝の事があったから無理もない。『駐車場に子ども残してそのまま居なくなるなんて! 何かあったらどうするんですか!』と。後から来た親御さんからも“信じられない親だ”と苦情が入ってたらしい。  ますます胃がムカムカする。  今夜は誠が居ない事だし、夕食は簡単にお総菜で済まそうとスーパーに行ったは良かったけど、お総菜コーナーの前で吐き気をもよおしてしまい、慌ててトイレに駆け込んだ。 「おかあさぁーん……」  “あの時”……駐車場に置き去りにされた時から、ずっと今まで堪えていた涙をとうとう堪えきれずに私にしがみついて泣き出した羅王。  こっちだって泣きたい……。  今朝から何から何まで思い通りにならなくて。  胃の中のものを全部吐き出したのに、まるで二日酔いの様に目眩を伴う何とも言えない気持ちの悪さ。  まさかとは思うけど、これって……  ――――違う! そんなワケない!!  早く家に帰って謙介さんと話したい。
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