アオ

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アオ

アオがどこで生まれて、何を見て、何を食べて育ったのか、僕は何も知らない。 いまのところ分かっているのは、アオがその名の通りに、スカイブルーの青い髪の毛と青い瞳をした、とても美しい女の子だということ。 そして僕はアオのことを、世界一深いマリアナ海溝よりも深く愛しているということだけだ。 「スカイ、とってきてくれる、新聞を」 アオは初めて会った時から僕のことをスカイと呼ぶ。けれども、僕の本名はスカイではない。ちゃんとジャパニーズ的な古風な名前をもっている。 でも、アオが名づけてくれた名前だから、僕は残りの人生をスカイという名前で過ごそうと思う。 僕の朝の日課は、アオと僕が同居する、ツリーハウスの二階から一階に続く螺旋階段を降りて、フクロウの木彫りのポストから新聞紙をシワがつかないように丁寧に抜き取る。 そして、急いで二階に戻って、アオが座るハンモックチェアーに新聞を置く。 次にキッチンに駆け込み、アオが朝食に食べる、焼きたてのナンに、ヒマラヤオオミツバチの蜂蜜をかけたもの、ダチョウの卵の目玉焼き、搾りたての季節のジュースを用意する。     
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