5人が本棚に入れています
本棚に追加
/130ページ
拝啓 一夜零様
この度は、突然このようなお手紙をお送りして申し訳ありません。
自分は、有栖慶と言います。
便利屋「ハチミツレモン」で、スタッフとして働いています。
蜩朧くんとは、4年前、彼がまだ高校生だった時からの付き合いで、同じ職場で彼はアルバイトして働いていました。
当時の朧くんは、とても真面目で、恋人の春村瑞穂さんを想うどこにでもいるただの優しい男の子でした。
だからこそ、そんな彼と彼女の運命を変えてしまったかもしれない、当時の自分の罪をいまでも許さないんです。
4年前、僕は、朧くんに好きなの子の……つまり春村瑞穂さんに、誕生日プレゼントを贈りたいから大人として相談にのって欲しいと彼に相談を受けました。
そこで、僕は、そちらで働いている野口一さんを、同じ便利屋の一人として、彼に紹介をしました。勿論、当時の朧くんに彼の正体は、話していません。
それに、そんなことをしたら、自分の命が危なかったですから。
一夜君。当時の僕は、野口さんの裏の情報屋でした。
まぁ? 情報屋と言っても、そちらみたいなプロの情報屋ではなく、当時、うちの店に出入りしていたある人物の監視&報告が主な仕事でした。
それもあって、自分が目を輝けせていれば大丈夫だと思い、当時高校生だった朧くんを野口さんに紹介してしまいました。
でも、まさか、そのせいであんな事が起こるとは……
だから、一夜くんに、こんなことを頼むのは、お門違いなのは、解っています。
けど、一夜くん! きみにしか頼めないんです。
どうか朧くんを野口さん、いえ! blackBart から引き離してください。
blackBart は、普通の人間がかかわってはいけない場所。
それどころか、彼らに一瞬でも関わってた人間は永遠に逃げらない。
彼らは、自分の秘密を知った人間を決して生きて返してはくれない。
その人間が死にまで、彼らはどこまでも追い掛けてくる。
だから……
朧くんには、そんな世界で生きていって欲しくない。
それに、来月(11月)で、瑞穂さんがなくなって2年が経ちます。
そして、朧くんが勤めていた工場をやめ、blackBart にすると自分に宣言して2年経ちます。
2年前、朧くんは、自分に「五条龍也をぶっ殺す」
その為に、野口さんと同じ世界に行くと僕に別れを告げてきました。
僕は、そんな朧くんを引き留める事ができませんでした。
けど、やっぱりそれは間違ってる!
朧くんを……そして、彼が護ってきた大切な世界を彼自身が壊してはいけない。
だから! 零くん! 朧くんを……そして、春村瑞穂さんの魂をあるべき場所に戻してあげて下さい。
有栖 慶
最初のコメントを投稿しよう!