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青い空…
青い海…
青い服に青い靴、青い建造物に青い生物…
その昔、この星には【青】が溢れていた…らしい。
僕は灰色の空を見上げ、深紅の海を眺めながら、昔は街があったという場所を歩いていた。
…もっとも、僕は【青】がどんな色なのか知らないし、街という場所も実際に見た事は、無い。
だけどもしかしたら…
世界で一番美しい場所だったと言われるこの場所でなら…
【青】が見つかるかもしれない。
そう思って、ここまで来たんだけど…
無駄足だった。
もうこの星には、【青】なんて色は無いんだ。
疲れた足取りで今夜の寝床を探そうとした時、誰かに声をかけられた。
「こりゃ驚いた。まだ生きてたのか、ボウズ。」
振り向いた先に居たのは、大柄な体躯の男。
歳は40半ばから50代くらいだろうか?
腕まくりしたシャツから覗く肌は浅黒く、長く伸びた髪を乱雑に後ろに流し、大きな箱を抱えたその男は、ゆっくりと僕に近付いた。
「ん?お前、よく見りゃ…珍しい色の目だな。青い瞳なんて、もう拝めねぇと思ってたんだが…」
青い…僕の目が…?
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