【青い瞳のプルー】

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すると男…グエンは深く頷き、僕の頭を遠慮なくガシガシと撫でた。 「水もある。人の事ぁ言えねぇが、このギトギトの髪を濯ぐぐらいは十分に出来るだろう。だから、遠慮なく付いてこい!」 そう言って、再び笑いだしたグエンを見て、このどこか憎めない大男を、僕は不思議とすぐに信用する事にした。 それが何故なのかは解らない。 だけど、このグエンに付いて行けば、なんとなく【青】にも近付ける、そんな気がした。 --- グエンが僕を連れて来たのは、廃墟の片隅、無数のテントと大型トラックが何台も停る、開けた駐車場跡地だった。 「ココは便利がいい。昔は洗車場もあってな?ソコが地下水を利用してたお陰で、今も汚染されてない水がたんまりと汲み出せる。俺達は少し遠くの集落にココの水をあと1回運ぶ予定だ。お前もその集落で暮らすと良い。お前と同じ歳くらいの女の子も居るぜ?嬉しいだろう、なァ、プルー!それから…」 硬い何かの干物をその水で喉に通しながら、僕はグエンの話を、ただ聞いていた。 しかし、グエンにこれ以上何かを干渉されるのはマズい。 「…僕は……集落には…行かない。」 勇気を出して、僕はポツリと否定した。 するとグエンは僕に説明する為に虚空に突き出した指をゆっくりと収めながら、僕に向き直る。 そして、落ち着いた様子で口を開く。 「…理由を聞こうか?」
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